店舗の人員配置を改善したい

人員配置とは、お店の業務効率化と利益率向上を目指して従業員を適材適所に配置することを言います。人員配置は店舗運営のひとつである「人材管理」に含まれる重要な業務で、従業員一人ひとりの適性を見極めたうえで配置することが大切です。

人材の適性を見ずに不適合な人員配置を行ったり、ただ人数を増員投入するという行為は、お店の業務効率や生産性に悪影響を及ぼし不利益をもたらすことになるので注意しましょう。

人員配置の最適化は業務効率化と利益率向上にどのようにつながるのでしょうか？こちらでは人員配置の最適化による2つのメリットを紹介します。

人員配置の最適化は人件費の最適化にもつながります。飲食店の場合、ランチやディナータイムのピーク時間と閑散時間に偏りがあります。閑散時間のお客様の稼働率は低くなるため、ピーク時と同じ人員配置をすれば当然人件費の過剰コストが生じます。

人員配置を最適化するには、少し面倒でも経営する店舗の繁忙期の時間と曜日、稼働率をデータ化しましょう。それに見合う従業員数を割り当てれば無駄な人件費を削減できます。

接客サービス、あるいは調理やそのアシスタントなどの従業員配置を適切に行えば、従業員は業務に対する不満を抱きにくくなるものです。スタッフのモチベーションが維持されれば仕事に対する意識と質の向上が期待でき、それが店舗の生産性を高め優秀なスタッフ流出（離職）への抑制にもつながります。

こちらでは人員配置を決定する際の指標やポイントを説明していきます。

飲食店の場合、お店の規模やコンセプト、ターゲットによって配置人員数は異なりますが、食事をするようなレストランタイプであれば、テーブル数や店の収容人数から適切なスタッフ数を求めることができます。

• 収容人数÷4(4人掛けテーブル)÷4＝適正人数

例えばお店の収容人数が52名のお店であれば、繁忙時のホールスタッフは最低3名必要です。ひとりのホールスタッフが3つから4つのテーブルを担当する計算になります。さらに調理スタッフや店長を含めるとピーク時は7～8名必要となります。

現状の人員配置が適切であるか？疑問を持っている経営者は売上げなどから人件費を数値化して確認してください。人件費や人員配置が適切かどうかを判断する方法に「人時売上高」や「FL比率」といった指標があります。

人時売上高とは、「ひとりの従業員が１時間あたりいくらの利益を出したか」を数値化したもので、下記のような計算で換算できます。

• 店舗の月商÷従業員の総労働時間=人事売上高

人時売上高の理想的な数字は5,000円前後と言われており、（※1）6,000円であれば理想を上回る配置ができており、3,000円以下であれば人員配置を再検討する必要があります。

参照元：採用アカデミー（https://saiyo-kakaricho.com/wp/staffing_for_restaurant/）

FL比率のFはFood（食材費）、LはLobor（人件費）を意味します。食材費と人件費を足して求めた比率をFL比率と呼び、経営するお店が利益を出しているかを判断する指標になります。 FL比率は下記のように計算します。

• （食材費＋人件費）÷売上高＝FL比率

FL比率は55～60%が理想的（※2）とされています。これより低い数値であれば効率よくお店を運営できていると言えるでしょう。

参照元：採用アカデミー（https://saiyo-kakaricho.com/wp/staffing_for_restaurant/）

売上高人件費率とは、店舗の売上に対する人件費の割合のことです。次のような計算で比率がわかります。

• 人件費÷売上×100＝売上高人件費率（％）

理想的な売上高人件費率は業種により異なり、飲食業の場合は30～40％が理想とされています。これより高い割合だと店舗の収益を圧迫している状態と判断してください。

優秀な人材を適材適所に配置したくても、そのマンパワーが揃わなくては適切な人員配置ができません。こちらでは飲食業界の人員配置における課題をまとめています。

飲食店ドットコムのリサーチサービスが、2022年5月にインターネットによるアンケート調査を実施したところ、飲食店経営や運営者の約7割が人手不足に悩まされているという結果が出ました。

飲食業界の中には「過激な長時間労働」や「サービス残業」といったブラック要素を取り上げられた企業も過去にあり、社会の中でのイメージが低下したのが人が集まらない原因のひとつと言えるでしょう。アンケートでも「求人を募っても充分な応募が集まらない」という声が多いようです。

飲食店の場合、ランチやディナーなどの繁盛タイムに合わせて勤務できるパートやアルバイトを必要とします。しかしパートやアルバイトは正社員と異なり、気軽に働ける雇用形態であることから注意されたり叱られただけで即日退社してしまうケースも多く見られます。

スタッフの定着率を安定させるには、従業員にとってメリットがある要素（ex.昇給や福利厚生など）を用意する必要があるでしょう。

人事配置を最適化するためのポイントを紹介します。

従業員の勤務時間やシフト、その人件費を一括管理できるシステムを導入することで店長や経営者の業務は効率化します。また時間帯ごとの売上データなど数値化することで、適切な人員配置を行うこともできます。最近ではスマートフォンや生体認証などで出退勤を管理できるシステムがあります。これらを効率よく利用して最適な人員配置を行いましょう。

仕事の割り振りは従業員の能力に応じて決める必要があります。能力の高い従業員にシステマチックな仕事を与えてもモチベーションが下がりますし、入社して間もない人に難易度の高い仕事を依頼しても効率が悪くなります。ただし能力が高いからといって、特定の従業員ばかりに負荷が掛かるようなことがあってもいけません。どの時間帯にも能力の高い従業員をひとりは配置し、新人を育てる環境作りが大切です。

最適化した人員配置は店舗業務の無駄な人件費を節約でき、従業員側にとっても適度な緊張感とモチベーションを維持して働けるというメリットがあります。

また初期費用は掛かったとしても、従業員の勤務を管理できるシステムや接客業務を省人化できる自動精算機などを導入すれば、さらなる人員配置や業務の効率化を図ることが可能です。ぜひ検討してください。