接客やバックヤードなどで働くスタッフの人件費は経費の中でも大きな割合を占めるため、店舗経営者にとって人件費削減は常に課題となっています。こちらでは人件費削減のメリットや注意点などをポイントごとに解説していきます。
人件費とは給与費用や法定福利費用、福利厚生などが当てはまる、雇用におけるヒトにかかるコストのことを指します。基本給や残業手当、通勤手当、賞与など従業員へ直接支払うものが「給与費用」、そして社会保険料や労働年金などの費用が「法定福利費用」です。企業によって異なりますが社員の研修や社員旅行、社宅費用、結婚祝い金、保養所などの会社負担が「福利費用」となります。
従業員の雇用は給与だけでなく法定福利費用なども会社負担となるため、店舗運営の大きなウェイトを占めることになります。利益向上を目指すためにも、上手に削減を図ることが大切です。
生産性を維持、または向上させながら上手に人事費を削減できれば、コストの有効活用や金融機関の評価につながります。
人件費を削減すれば、ランニングコストや人材教育コストなどの削減にもつながります。例えば勤務時間内の業務効率を向上させて残業を少なくすれば、残業代だけでなく光熱費・水道代などを減らすことができます。
ほかにも繁忙時期だけアウトソーシングを利用すれば、必要な人材をピンポイントで導入でき、人材の教育などにかかる費用もカットできます。このように人件費削減に取り組めば、連鎖して他の経費を削減できるようになります。
新規事業にかかるコストやランニングコストなどの融資を金融機関へ申し込む場合、金融機関の担当者は会社の経営状態の審査をします。もしも、人件費の削減を進められていたなら、決算書の企業利益の数字を向上させることができます。結果的に金融機関からの評価が良くなり、審査をパスしやすくなるでしょう。
人件費を削減したことで浮いたコストを設備投資やアウトソーシング費などの別の用途に活用すれば、店舗運営の効率化を図れます。店舗運営を効率化できれば従業員に掛かる負担を軽減でき、労働環境の向上につながります。ほかにも浮いた費用を新規事業の立ち上げに使うといったことも可能になるでしょう。
人件費の削減はコスト削減につながるため一旦は利益が上がるかもしれませんが、方法を間違えるとじわじわと売上や業績ダウンを招く可能性があるので気をつけなければいけません。
リストラや減給、賞与・福利厚生のカットなどは、思いつきやすい人件費削減方法ですが、その代償を念頭に置かなければいけません。これらの削減を従業員の理解なしに強行すれば、会社に対する不信感や働くモチベーションが下がって離職や業務効率の低下を招きます。その結果、業績効率ダウンにつながる恐れがあるため注意しましょう。
給与や賞与のカット、リストラなどによる安易な人件費削減の遂行は、第三者からすると、深刻な業績不振に陥っているのではないかという印象を与えかねません。従業員の権利を守れない店舗というイメージダウンも付きまとい、優秀な人材の応募が減ってしまう可能性も。金融機関からの評価も低下する恐れも生じます。
業務の効率化をせずに安易なリストラや残業時間の短縮などの方法で人件費を削減すれば、当然人手が不足して業務が回らなくなります。勤務時間中の従業員への負担も重くなるため、過労やストレスなどで生産力の低下や離職を招く可能性もあります。
人件費の削減は業務効率を上げるための機材導入やアウトソーシングの導入など現状のオペレーション体制を見直しながら、段階的に進めていく必要があります。
目先の短期的な利益の増大ばかりに注目してデメリットに目を背けた人件費削減方法は、上記で挙げたような結果を招いて逆に店舗の運営状況を悪化させてしまいます。
安易な人件費削減を行う前に、まずは店舗側の業務オペレーションを見直してみましょう。業務効率を上げる機器を導入したり、専門家との業務提携、マニュアル作成など、まずは生産体制の整備を進めてから無駄な人件費を削減していきましょう。
まずは、人員削減を行うことで従業員の負担にどのくらいの影響を与えるかをチェックしましょう。不足した人員を補うために労働時間が増えれば、従業員に長時間労働を強いることになり疲弊させてしまいます。
必要以上の人員削減は、残った従業員の業務負担を増やしてしまうことになるので注意しなければいけません。また、それによって残業や休日出勤が増えれば、人件費を削減した意味がありません。人員削減を行う場合は、同時に業務負担を軽減する施策を実施するなどの対策を行う必要があります。
人件費削減のために業務負担を軽減する施策を実施する場合は、段階的に取り入れるようにしましょう。特に、新規でITツールを導入する場合は「スモールスタート」を意識することが大切です。 いきなり大規模に施策を実行してしまうと、業務フローが大きく変更されてしまうことになり従業員の負担が増加します。また、トラブルが発生したときのフォローの負担も大きくなり、対応が遅れてしまう場合も。まずは、ITツールの基本的な機能から開始し、徐々に範囲を広げていくようにするといいでしょう。
人件費の削減を行う前に、まずは人件費以外の固定費の削減を検討することをおすすめします。人件費削減は従業員からの理解をなかなか得にくいもの。従業員にかかる負担やリスクが大きいため、行う際も慎重に進めていくべきです。
まずは、経営に関わる固定費で削減できるものはないかを多角的に検討するようにしましょう。従業員の協力を得るためにも、利益をあげて給与をアップさせるなど、従業員にとってもメリットと感じられる目的を掲げてコスト削減を行うことが大切です。
人件費が適正か見極めるための重要な指標として、「人件費率」と「労働分配率」があります。
人件費率とは、店舗の売上高に占める人件費の割合のこと。原材料などの仕入れ原価による影響を受けるため、業界ごとに適正な数値が異なります。計算方法は、「人件費率=人件費÷売上高×100」で算出可能です。
労働分配率とは、企業の粗利益を人件費として分配した割合のこと。こちらは、企業の規模によって適正値が異なります。計算方法は、「労働分配率=人件費÷付加価値(粗利益)×100」です。
効率的に人件費削減を行うには、給料カットやリストラといった短絡的な方法より経営サイドから運営を見直す必要があります。
曜日や時間帯に応じて業務に必要な人数を的確に配置しましょう。
店舗ビジネスの場合は曜日・時間帯・立地により混雑具合が変動します。業務と客足の変化に対応できるシフトを作成。実施後はそのシフトで適切に対応できているかを振り返り改善していきます。無駄なコストを抑えながらも接客サービスを維持・向上させるには、適切なシフトの組み方を見直すことが大切です。
従業員の労働生産性が向上すれば、少数精鋭でも効率よく業務を遂行することができます。
従業員のスキルアップを図るには社員研修や業務マニュアルの作成といった教育が必要ですが、一時的に費用がかかったとしても長期的な観点では人件費削減につながります。また従業員の業務負担が減るような専用ソフトやシステムを導入するのもひとつの方法です。
働きやすい労働環境を作ることで従業員の定着が見込めるようになります。業務や商品知識が豊富で接客に長けた従業員が多くいる店舗ほど運営&経営は安定し、人材教育にかかる費用を抑えることもできます。
一人ひとりが長く働ける環境を作るには、能力に応じた報酬アップや福利厚生の充実、上司とのコミュニケーションの活性化などが必要不可欠。一見人件費削減にはつながらないように見えても、優秀なスタッフが定着すれば会社の利益向上にもつながっていくでしょう。
上記で挙げたように、シフトの見直しや従業員がより働きやすい環境づくりと教育システムの導入、効率化のためのシステム導入などが将来的な人件費削減へのポイントです。
運営側の利益と従業員側のモチベーションの継続を維持するには、リストラや残業・賞与カットといった短絡的な方法よりも、働き方の見直しを実施するほうが長期的には有効です。
少数精鋭で生産性の向上を図るには、効率化のためのシステムを導入する方法もあります。
一例として挙げられるのが自動精算機の導入。会計業務や受付業務など、これまで人が行っていた作業を機械に任せることで、既存の人員のままで業務効率化を図れるようになります。自動精算機は普及に伴いコストが安くなっているため以前より導入しやすく、採用や教育コストなどの人件費より長期的観点ではお得な場合も。お釣りの受け渡しの間違いが無くなったり、レジ閉めなどの金銭管理も簡単になりセキュリティ面でもメリットがあります。
さまざまな自動精算機の販売会社の中から、店舗の「売上アップ」に寄与する機能に注目。
導入業種の豊富さと顧客満足度を高める機能に注目して導入業種が多く、連動機能が多い3社を紹介します。(2021年4月時点)
スターランド
連動機能 | 12種 |
カラオケ業界No1!POSシステムとの連動で施設を省力化
導入業種
キャッシュレス決済
アルメックス
連動機能 | 9種 |
クリニックの受付から精算、再来受付までトータルでサポート
導入業種
キャッシュレス決済
システムギア
連動機能 | 8種 |
スピードチェックインでホテルフロントの滞在時間を短縮
導入業種
キャッシュレス決済
※2021年4月時点 特化した機能と導入実績が多い順 各社公式サイトを参照 編集チーム調べ