鉄道業界では若手を中心に人手不足が課題になっています。その原因には夜間勤務を含む長時間拘束のシフト制による負担や、待遇に不満があるなどを理由に若手社員を中心に離職率が進んでいます。こちらでは鉄道業界の人手不足の原因とその解決策を紹介していきます。
鉄道業界は参入障壁の高さから新規参入がほとんどなく、他業界に比べて危機感のないイメージを持っている人も多いかもしれません。けれど、実際は9割以上の中小鉄道会社が少子高齢化のあおりを受けており、かつては7割もいたとされる定期旅客(通勤通学定期券を持っている利用者)が5割にまで減少。鉄道会社がそれだけの収入源を失ったことを意味しています。
少子高齢化のほかにも、在宅勤務の増加といったワークスタイルの変化で、鉄道による移動需要が減少。そのため、多くの鉄道会社が定期旅客の確保に取り組んでおり、さらに海外からの旅客の取り込みによる定期外旅客収入の増加も求められています。それと同時に、鉄道以外での収入源を確保する経営の柔軟性向上も、鉄道業界が推し進めていかなければいけない課題です。
鉄道業界では鉄道以外の収入源の確保が課題になっており、非鉄道事業に力を入れる事業の多角化が進んでいます。各鉄道会社が取り組んでいる非鉄道事業は、主に不動産や流通、運輸、レジャーやリゾートなど。これら非鉄道事業の売上比率は高く、開発による沿線価値の向上で鉄道の利用者増にも貢献していることから、鉄道業界の事業の多角化は今後ますます進んでいくことでしょう。
沿線の活性化を目的とした、モビリティサービス(Maas)に参入する鉄道会社が増えています。モビリティサービスとは、鉄道やバスなど複数の移動手段を連携させて、出発地から目的地への移動をITで最適化するサービスのこと。検索や予約のほかに決済サービスも備えていることから、宿泊先のホテルの検索・予約から決済まで行え、外国人観光客の取り込みが期待されています。また、高齢者の多い地域では、移動の困難解消を図るための郊外型サービスの提供も始まっています。
ひと口に鉄道業界といっても、駅員や車掌、運転士など現場で働く「現業職」や車両や建築物などをメンテナンス・開発する「技術職」、営業や人事・新規ビジネスなどの仕事を行う「総合職」などに分かれます。こちらでは鉄道業界の花形である運転士や車掌など現業職のケースについて原因をピックアップしています。
鉄道業界では夜間勤務を含め24時間・365日体制でのシフトが組まれることが多いです。勤務形態は鉄道会社により異なりますが、電車の運転士や車掌の場合は休憩や仮眠を挟みながら24時間拘束で働き、その後2日連休というかたちで働くパターンが多いようです。「泊早番」「日勤」「泊遅番」など出勤時間もまちまちで、不規則なシフト勤務を管理できる精神と体力が必要です。
1分単位の遅れも許されない鉄道業界は、厳しい時間管理が求められます。鉄道会社によっては、ダイヤ通りに電車を運行しないと減給につながるケースもあるようです。駆け込み乗車などによる遅延は車掌の責任とは言えないはずですが、このようなケースでも責任が問われるとなると精神的負担は重くなってしまうでしょう。
駅員や車掌、運転士など現場で働く現業職の職員は利用客と接することが多いため、クレームなどの対応に追われることもあります。乗り場やアクセス方法などの質問はもちろん、電車の遅延や天災による運休に対してのクレーム、酔っ払いの対応、運行中の車内トラブルの対応など多岐にわたります。利用客とトラブルにならないよう臨機応変に対応できる接客力が必要です。
毎日あるとは限りませんが、人身事故の処理は現場の職員も対応します。事故の処理を行いながら、乗客の整理や遅延クレームなどの対応を行います。人身事故の対応は、トラウマになって退職する人もいるほど大変な作業です。
このように鉄道業界の現業職員は「憧れの職業に就職!」という気持ちだけでは継続できないほど大変な業務となっています。
駅員や運転士が不足すると、運休や列車運行数が減るなど私たちの日常生活に影響を及ぼす可能性も出てきます。
一例を挙げてみましょう。JR北海道では2020年度に自己都合退職者が183人に及び、その約7割が40歳未満の若手社員でした。コロナ禍時期には社員2名が新型コロナウイルスに感染し、運転士を含む社員が一斉にPCR検査を受けたため2日間にわたり一部運休する事態に陥りました。鉄道業界の人手不足が引き起こす問題は、既に実際に起こり始めているのです。
参照元:PRESIDENT Online(https://president.jp/articles/-/50479)
人手不足の課題に対する解決方法のひとつが初任給アップなどの待遇面での改善です。初任給を引き上げて人材を確保しようという試みで、すでに関東の私鉄大手や東武鉄道では来年度入社する社員の初任給の引き上げを決定しています。
高卒の場合は昨年度より10%余り多い20万円に、大卒は5%余り多い23万円にしています。また名古屋や関西圏でも初任給の引き上げを取り入れています。
参照元:NHKニュース(https://www3.nhk.or.jp/news/html/20220706/k10013703991000.html)
業務経験豊富な職員がより長く活躍できるように定年を延長して人材をキープするケースです。例えば60歳で退職だった社内規定を変更し、65歳まで延長するなどで対応します。
また中途採用を積極的に行っている鉄道会社もあり、異業種からの転職希望者を募って人材確保を行っています。
人手不足を機械やAIで補おうとする試みです。今では主流になっている駅の自動改札機も人手不足と業務効率化に向けた対策のひとつですが、現在は人工知能(AI)を導入した駅係員の省人化や無人化などの取り組みも始まっています。AIによる案内システムや訪日外国人に対応できる多言語翻訳機能などもあります。
例えば株式会社Will Smartでは、公共交通機関と協力してAIカメラソリューションの活用を始めました。「利用者データ取得」や、改札における「不正乗車対策」、ホームから線路への転落検知・発報をする「安全性向上策」、車いすなどの利用者の検知・発報をする「サービス向上策」などのデータをAIカメラソリューションが取得するシステムです。駅利用者の動向を見守ることで、これまで職員が取り組んでいた業務の一部をAIカメラが代行できるようになります。
さまざまな自動精算機の販売会社の中から、店舗の「売上アップ」に寄与する機能に注目。
導入業種の豊富さと顧客満足度を高める機能に注目して導入業種が多く、連動機能が多い3社を紹介します。(2021年4月時点)
スターランド
連動機能 | 12種 |
カラオケ業界No1!POSシステムとの連動で施設を省力化
導入業種
キャッシュレス決済
アルメックス
連動機能 | 9種 |
クリニックの受付から精算、再来受付までトータルでサポート
導入業種
キャッシュレス決済
システムギア
連動機能 | 8種 |
スピードチェックインでホテルフロントの滞在時間を短縮
導入業種
キャッシュレス決済
※2021年4月時点 特化した機能と導入実績が多い順 各社公式サイトを参照 編集チーム調べ