ノーショーとは、顧客が予約を無断でキャンセルすることです。経済産業省が2020年に発表した「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」によると、飲食店におけるノーショーの推定被害額は年間で2,000億円にものぼるとのこと(※)。店舗の売上に大きな損害を与えることから、問題視されています。
ちなみにノーショーとドタキャンの違いは、ドタキャンが直前でキャンセルの連絡があるのに対し、ノーショーは連絡なしで無断キャンセルされる点です。
※参照元:経済産業省「令和元年度 内外一体の経済成長戦略構築にかかる国際経済調査事業(電子商取引に関する市場調査)報告書」[PDF](https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/200722_new_hokokusho.pdf)オンラインで気軽に予約できるようになった一方で、顧客の予約に対する意識が低くなってきています。飲食店向け予約サービスを提供している株式会社トレタが飲食店でノーショーをしたことのある人を対象にアンケート調査を行ったところ、「忙しくて連絡する余裕がなかったから」「連絡する必要がないと思ったから」「特に理由はなかった」「電話代がもったいないから」といった回答があったとのこと。このことからも、予約をとるということを軽く認識している顧客が多いことが伺えます。
※参照元:株式会社トレタ「できていますか?予約キャンセル対策 アンケート調査結果も紹介」 (https://toreta.in/contents/dx/cancel001/)予約日が2~3ヶ月以上先だったり、複数店舗に仮予約をしていたりなどで、顧客が予約したことを忘れている場合があります。顧客に悪意はないものの、店舗からするとノーショーと同じなので、予約席や枠の確保による機会損失や売上の減少に繋がってしまいます。
キャンセル料金が発生するなどの一定の条件を定めたキャンセルポリシーが規定されていない場合、顧客はキャンセルすることへの抵抗感がなくなるので、ノーショーが起きやすくなります。キャンセルポリシーの内容は、宿泊費や席料、コース料金などの何割かをキャンセル料として求めるのが一般的です。
キャンセルポリシーを規定していることで、ノーショーに繋がる場合もあります。たとえば諸事情でキャンセルしなければならなくなったとき、店舗に連絡をするとキャンセル料を支払わないといけません。そのため、キャンセル料を払いたくない顧客が無断キャンセルすることもあります。
キャンセルポリシーの条件を厳しく設定するとノーショーを助長することになりかねないので、キャンセルポリシーを規定する際は注意が必要です。
顧客がキャンセルの連絡をしたのに店舗と繋がらなかった場合も、結果的にノーショーとなります。このケースではノーショーによる損害を被ってしまううえに、顧客からの印象もマイナスになるので対策が必須です。
予約の無断キャンセルによって顧客が店舗側に対して何らかの損害を与えたのであれば、債務不履行に該当する可能性があります。債務不履行とは、契約に基づく義務を果たさないこと。その場合、店舗側はキャンセル客に損害賠償を請求できます。
無断キャンセルか、直前キャンセルかによって損害賠償の算定方法は変わります。さらに、意図的で悪質な無断キャンセルの場合は刑事上の偽計業務妨害罪に問われる可能性もあり、その場合は3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科されます。
「電話だと口約束になるから契約は成立していないのでは」と考える人もいるかもしれません。契約は、契約書を交わして締結するのが一般的です。しかし、文書などによらない口約束であってもほとんどの契約は成立します。手段に関わらず、契約を申込まれた側が承諾の意思表示をすれば成立するからです。
つまり、電話でも予約が完了した時点で契約は成立したとみなされます。店を訪れて予約票に名前や住所を書いたケースはもちろんですが、電話やネットにおける予約でも契約は成立します。
無断キャンセルにおける損害額は、ケースバイケースといえます。飲食店の場合、コース予約か席のみの予約かでも算出方法は異なるでしょう。コースで予約した場合、すでにメニューが決まっているため店側はそれに合わせた食材を準備します。そのため、キャンセルした枠を埋め合わせるのは難しく、原則的に予約したコース料金の全額が損害額となります。
席のみの予約の場合は実際の損害額を算出するのは難しく、平均的な客単価の一部を損害とみなします。実際に損害賠償を求めるためには、店側はキャンセルポリシーを設定し、その内容を確認できるようにすることが大切です。
電話やネットで予約する際、客側は名前と電話番号のみを告げていることも多いでしょう。個人が特定できないから賠償金を請求されないと考えている人もいるかもしれませんが、電話番号から個人の特定は可能です。
弁護士は、弁護士法第23条の2に基づいて官公庁や企業に必要な情報を照会する権限を有しています。これを用いて、携帯電話会社に対して契約者情報の照会を実施できます。店側が直接客の個人情報を調べることはできませんが、弁護士に依頼すれば電話番号から個人を特定できる可能性があるのです。
席のみの少人数の予約をしていたもののキャンセルするのを忘れていたといった、悪意がなく被害額も少ない無断キャンセルのケースだと店舗側が刑事告訴できる可能性は低いです。告訴されないと刑事事件として警察が対応する可能性は低いため、逮捕されることもほぼないでしょう。
一方、大人数のコース予約を無断キャンセルした場合は被害額も大きいため、店舗側から刑事告訴される可能性はあります。
偽計業務妨害とは、他人をだましたり他人の不知などを利用して人の業務を妨害する行為のこと。無断キャンセルの中でも店に被害を与えようとしたり、自身が何かしらの利益を得ようとしていた場合は、偽計業務妨害罪に該当する可能性があります。
京都・祇園の京料理店でふぐコース13人分を無断キャンセルしたとして、京都府警東山署は2日、東京都狛江市、自称インストラクターの男(27)を偽計業務妨害容疑で逮捕した。「キャンセルするのを忘れていただけ」と否認しているという。(後略)
※引用元:読売新聞オンライン(https://www.yomiuri.co.jp/national/20230202-OYT1T50235/)
宿泊予約サイトを通じて高級ホテルに虚偽の予約を入れ、コンビニなどで使える「Tポイント」を不正に入手したとして、京都府警サイバー犯罪対策課と南署は22日、私電磁的記録不正作出・同供用と偽計業務妨害の疑いで、女(51)と息子(30)を逮捕した。(後略)
予約忘れによるノーショーを防ぐ対策としては、顧客への事前連絡が有効です。特に1ヶ月以上先の予約については、2週間前、1週間前、3日前などコンスタントに連絡するのがおすすめ。ただ、連絡のしすぎはしつこい印象を与えるので注意しましょう。
顧客との連絡手段が電話のみの場合、常に顧客と連絡がとれるとは限らないため、折り返し対応などで手間や時間がかかります。予約対応の業務を効率化するには、予約管理システムの活用がおすすめです。予約管理システムを利用すればメールで連絡ができるほか、多数の顧客への一斉送信も可能。メールの文章もテンプレートを使い回しできるので、顧客への連絡に時間や手間をとられません。
顧客情報のデータも蓄積でき、顧客のニーズに応じたサービスや商品を提供するのにも役立ちます。
オンライン予約時に登録したクレジットカードをもとに、キャンセル料金の請求が可能な決済サービスも登場しています。システム上でキャンセル料金を請求できるので、ノーショーによる損害を抑えることが可能です。
キャンセルポリシーを規定していない状況でノーショーに悩まされている場合は、キャンセルポリシーをつくってみましょう。ただし、キャンセルポリシーの基準が厳しいと、キャンセル料金を支払いたくない顧客が無断でキャンセルする原因になります。キャンセルに対して必ずキャンセル料金を発生させるのではなく、1週間前までのキャンセルは無料、前日~3日前は料金の50%のように基準を緩和させると、ノーショーの発生を抑えやすくなるでしょう。
キャンセルポリシーを規定した場合は、顧客にキャンセルポリシーの内容をしっかりと伝えることも大切です。
店舗にキャンセルの連絡が繋がらないと結果的にノーショーになってしまうので、顧客といつでも連絡が取れる環境を整えましょう。受付の窓口が電話のみの場合は、営業時間外でも顧客からの連絡を受付できるように留守番電話を設定したり、SNSのDMでキャンセルの受付ができるようにしたりなどの対策を検討する必要があります。
ノーショーは売上に大きな損害を与えるため、店舗が取り組むべき問題です。キャンセルポリシーを規定して顧客側に予約に対する責任を意識させるのも大切ですが、店舗側でも顧客にリマインドしたり連絡しやすい環境を整えたりなどの取り組みが必要になります。店舗でできることを考えながら、ノーショーの防止に努めましょう。
さまざまな自動精算機の販売会社の中から、店舗の「売上アップ」に寄与する機能に注目。
導入業種の豊富さと顧客満足度を高める機能に注目して導入業種が多く、連動機能が多い3社を紹介します。(2021年4月時点)
スターランド
連動機能 | 12種 |
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導入業種
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連動機能 | 9種 |
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システムギア
連動機能 | 8種 |
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導入業種
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※2021年4月時点 特化した機能と導入実績が多い順 各社公式サイトを参照 編集チーム調べ