在庫管理がうまくできない

商品が不足・過剰供給しないために欠かすことができない在庫管理。もし在庫管理が徹底されていないと、企業にとって大きな損失になる恐れが高まるので注意が必要です。どのようなマイナスがあるのか、具体的に紹介します。

まず考えられるのは過剰発注によって、在庫が数多く残ってしまうという損失です。在庫管理によって在庫数を適切に把握できるからこそ、必要な量を発注できます。しかし在庫管理ができていなければ、そもそも在庫数が把握できないので必要以上に発注してしまう恐れがあるでしょう。

もし食品のように消費期限がある商品を取り扱っている場合、過剰に在庫を抱えていれば、適切な時期に供給できずに無駄にしてしまう恐れがあります。また流行がある商品は需要が状況によって左右されがちなので、それに応じた在庫管理が求められるでしょう。数多くの在庫を無駄にすれば、経営に支障をきたしかねません。だからこそ需要と供給のバランスを考えた在庫管理が重要なのです。

在庫管理が行えていなければ、適切なタイミングでの発注が困難になってしまいます。たとえば製造業において在庫管理が曖昧だと商品を製造するタイミングで、在庫不足に気が付くというケースも。急いで発注したとしても間に合わず、せっかくの販売の機会を失ってしまうでしょう。計画的に生産していくうえでも在庫管理は大切です。

そもそも何故在庫管理が上手く行えないのでしょうか。ここでは在庫管理ができない要因を紹介します。

手入力など人による在庫管理を行っている場合は、ヒューマンエラーが考えられます。どんな人間でもカウントや入力ミスが起こる可能性があり、実際の在庫数とデータの在庫数に違いが生じてしまうのです。作業員によるミスを防ぐためには在庫管理の仕組みを見直す必要があり、ミスがあるという前提で対策を考えなければなりません。

企業としての在庫管理のルールが決まっていないケースも考えられます。それぞれの作業員が独自で在庫管理を行っていればデータが合いにくくなるでしょう。企業としての在庫管理のルールを明確にし、すべての作業員の在庫管理作業の統一化を図ることが大切です。

在庫管理を行うためには、コツを押さえておくといいでしょう。「マニュアルを作成する」「売り上げ予測を立てる」「先入れ先出しの徹底」などのコツさえつかめば、決して在庫管理も難しくありません。

まずは在庫管理のマニュアルを作成することから始めましょう。上記でも述べたようなマニュアルがなければ、作業員のやりやすい方法で在庫管理を行ってしまい、作業手順の違いによってデータがズレやすくなってしまいます。全ての従業員が同じ手順で在庫管理が行えるよう分かりやすくマニュアルを作成してください。またマニュアルを作成したあとに、しっかりとマニュアルを従業員が把握できる体制も整えましょう。マニュアルを作成していれば、新入社員が入社したときも指導が楽になるなどのメリットもあります。

在庫数の管理は適切に行えたとしても、どの商品をどの程度仕入れるのかを判断できなければ意味がありません。適当に発注してしまえば、過剰・不足な状態に陥りかねません。仕入れをする際は過去の売り上げを参考にし、売り上げ予測を立てましょう。セールの頻度・タイミング・市場の動向などを考慮し、細かなスケジュールを把握しておけば売り上げ予測の精度も高まります。

在庫数や売り上げ予測を行ったとしても、入手した順から販売してしまえば期限のある商品を廃棄する状態に陥りかねません。基本的に在庫は先入れ・先出しが鉄則であり、とくに使用期限・消費期限などのある商品は先入れ・先出しを徹底してください。たとえ期限がない商品であっても長期間保管しておけば、商品に傷が付くなど価値を下げてしまう恐れもあります。もし倉庫で保管しているなら、入荷した商品は奥に置き、保管期限の長い商品を前に置くよう先入れ・先出しがしやすい工夫を施しましょう。

不良在庫とは、長期間売れ残っていて、将来的にも売れる見込みがない在庫のことです。不良在庫になるものとしては、在庫管理がうまくできておらず過剰生産・仕入れになった商品や製品、流行遅れや型落ち、賞味期限切れのものなどが該当します。不良在庫を多く抱えてしまうと倉庫や店舗内のスペースを圧迫し、それを管理するための人件費や光熱費も発生するため、早急な対処が必要です。

コストの増大によって経営に損失をもたらしかねないほか、不良在庫によっては腐敗・色落ちにより、ほかの商品にまで悪影響を及ぼすこともあります。

不良在庫を処分することで、これまで発生していた人件費や光熱費などの管理コストをカットできます。売れる見込みのない不良在庫にコストをかける必要がなくなり、キャッシュフローの改善を図ることも可能。また、不良在庫によって圧迫されていたスペースを有効活用できるようになるので、新しい商品を仕入れられるメリットもあります。

金融機関の融資審査では、在庫回転率が融資をするかどうかの判断材料になることがあります。なぜなら在庫回転率が低い＝不良在庫を抱えているリスクが高いということで、経営に問題がある可能性が考えられるからです。不良在庫を処分して在庫回転率を上げることにより、金融機関の融資審査に通りやすくなります。

不良在庫は管理コストを増大させるだけでなく、棚卸資産として計上されることで税負担も増えるデメリットがあります。値引き販売で不良在庫を減らすか、もしくは廃棄して「廃棄損」として計上することで節税が可能に。廃棄損としての計上で節税につながる理由は、棚卸資産が減って売上原価が増加することで、利益が減少するためです。

不良在庫を処分する方法は、「値引き販売」または「廃棄」のいずれかです。廃棄すると不良在庫にかかっていたコストが全額損失になってしまうため、まずは値引き販売を行って少しでもコストを回収しましょう。それでも売れ残ってしまった場合は、廃棄処分することになります。ただ、廃棄処分する場合、税務局から妥当性が認められないと経費として計上することができないため、合理的な廃棄理由と専門業者から発行される「廃棄証明書」を用意しておきましょう。

自動精算機を導入することで注文・会計などの業務を大幅に削減できます。その分、在庫管理の業務に時間を充てることができ、在庫管理を徹底したい企業にとっても大きなメリットとなるでしょう。