接客業である飲食店経営では、お客様からのクレーム処理は避けては通れない道のひとつ。どんなにお店側が気をつけていても忙しい時間帯は料理の提供が遅れてしまったり、注文ミスなどヒューマンエラーが起こりやすくなります。
お客様からのクレームを減らすには、従業員教育を徹底させるといった事前の対策とクレームが発生した後の処理をどのように行うかがポイント。こちらでは飲食店で起こりやすいクレームとその対策、注意点などを詳しく紹介していきます。
日本労働組合総連合会が2017年11月にインターネットリサーチで実施した調査によると、一般消費者の約4割がサービスや商品に関するクレームを上げた経験があるという結果が出ています。特に40代以上の人ほどクレームを上げるケースが多いのが特徴で、飲食店を経営する側はクレームを受けた際のマニュアルを事前に準備しておく必要があります。
クレームの中にはお店側に非のない理不尽なものもありますが、対応を間違えると悪い噂が広がったり売上げに悪影響を及ぼすことになるため気を付けなくてはいけません。従業員全員が迅速かつ適切なクレーム処理ができるよう、事前に対策を立てておくのが重要です。
参照元:日本労働組合総連合会「消費者行動に関する実態調査」(https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20171221.pdf?v0110)
こちらでは料理や飲み物といった商品に対するクレームについて紹介します。
日本労働組合総連合会のデータによると、苦情・クレーム内容の上位に入るのが異物(髪の毛や虫など)が飲食物に混入しているという理由です。
このようなクレームが入った際は、謝罪と共に異物が混入している料理や飲み物はすぐに下げ、 新しい料理を速やかに用意するようにしましょう。お客様を疑ったりするような発言はNGです。
異物が入った原因を突き止めることも重要なため、調理担当者や配膳したサービス担当者にも異物が混入していたことを伝えてください。お客様に対しては、会計時にも改めて謝罪を忘れずに行いましょう。
参照元:日本労働組合総連合会「消費者行動に関する実態調査」(https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20171221.pdf?v0110)
おいしさの感覚は人それぞれです。ひとりのお客様のクレームだけで味付けを変える必要はありませんが、もし複数のお客様が料理の味に違和感を感じているようならば、味付けの改良を見直す必要があるかもしれません。
ただし苦情を訴えることで飲食代を無料にしようとするクレーマーには要注意です。丁寧な応対を心がけながらも、金銭の要求には応じられない旨を説明してください。
こちらでは飲食店で多い、サービス面に対するお客様のクレーム内容について紹介します。
飲食店にいる時間を気持ちよく過ごすために、お客様は一定以上の接客サービスをお店側に期待しています。そのため接客態度が悪い従業員がいれば当然クレームに発展するケースも出てくるでしょう。
接客態度の悪さをSNSから配信されれば、口コミをチェックしてお店を検索している人から避けられ、売上に直接影響する可能性も高くなります。
店員の接客態度は経営者の責任でもあります。お店のコンセプトに沿う接客マニュアルを作り、従業員にしっかり教育するシステムを整えてください。
日本労働組合総連合会のデータによると、注文した料理がなかなか出てこない、という内容のクレーム数は全クレーム総数の30%を超えています。時間の感じ方は人によって異なるものの、お腹が空いている時は特に敏感になりがちです。
もしあらかじめ調理に時間が掛かるのがわかっている料理であれば、注文時に「○○分ほど掛かりますがよろしいでしょうか?」など一言添えるようにすると良いでしょう。お客様から料理の遅さを指摘されたら謝罪と確認する旨を伝え、調理場へ確認。その返事を再度お客様に伝えてください。提供するまで時間を要する場合は、ドリンクやおつまみなどをサービスする配慮もあると良いでしょう。
参照元:日本労働組合総連合会「消費者行動に関する実態調査」(https://www.jtuc-rengo.or.jp/info/chousa/data/20171221.pdf?v0110)
注文した料理と異なるものを提供されたというクレームもよくあるケースです。こちらに関しては注文時の確認不手際の可能性がありますが、基本的には謝罪と共に速やかに正しい注文の料理を提供するよう努めてください。ここで待たせてしまうと、また別のクレームに発展する可能性が出てきます。ケース・バイ・ケースではありますが、一度提供した料理についてお代は取らず、そのままサービスとして提供するというのも一つの手です。
会計時の釣銭が少ない、といったクレームも少なくありません。単純な計算ミスやお客様が出した金額の勘違い(本人は1万円札を出したつもりが5千円札だったなど) などです。
お店の経営者の方針にもよりますが、基本的にはお客様に時間を取らせてしまうことを謝罪し、レジを止めて売上金額と釣銭を照らし合わせるのが一般的です。そのうえでこちらのミスであれば謝罪、そうでなければお客様に納得できる形で説明してください。
ヒューマンエラーは起こり得るため、このようなトラブルが起こらないよう、レジシステムの改良や自動精算機の導入などを検討してもいいかもしれません。
飲食店を続けるうえでクレーム対応は避けては通れない道です。ここで対応を間違えると経営に大きな悪影響を及ぼすことになるので、クレーム対応の基本手順や適切な姿勢を頭に入れておきましょう。
クレームを受けたら、まずはお客様に不快な思い、あるいは迷惑を掛けてしまったことに対して謝罪します。お店側の落ち度があった場合は当然ですが、お店に非がないケースであっても「不快な思い」をさせたことについて限定的に謝罪し、真摯な態度で応じましょう。
謝罪したことで少しお客様が落ち着いてきたら、お客様からのクレーム内容を聞き取り事実関係を把握します。このとき注意したいのは、疑問に思っても途中で話しを遮らず、お客様の言い分を最後まで聞くことです。また相づちやお客様の言葉を反復することで、きちんと聞いてもらっているという安心感を与えてください。聞き取り側が感情的になってしまうのもNGです。
聞き取る側は飲食店スタッフなので、どうしてもお店の立場になって考えてしまいがちです。クレームが起こった理由がお店の事情(ex.忙しい時間帯だった)だったから仕方ないと思ってしまったり、理不尽な内容であればついついお客様に冷たい態度を取ってしまう可能性も出てきます。
問題を穏便に解決するつもりであれば、自分がお客様の視線に立ち対応するよう心がけてください。
お客様の話を聞き、内容を把握したら、お客様の怒りや苦情を解決するような方法を提案します。異物の混入や料理の間違いなどは、速やかに新しい料理に交換したり、お店から無料でドリンクや別の料理のサービスを提供するなどが望ましいです。
お客様の怒りがそれでも収まらない、悪質なクレーマーの可能性が高いなどのケースであれば、店舗責任者に報告して指示を受けてください。
クレームを聞き取る際には、怒っているお客様の感情に油を注ぐような態度・言動には十分に注意してください。クレーム・苦情のポイントがさらに拡大してしまいます。
クレームを聞き取る際は、相手の怒りを少しずつ落ち着かせていくよう心がけてください。お客様の説明に「はい」「そうですか」など相づちを挟みながら、敬意を払って聞き取ります。
相手の説明を遮ったり、感情的になったり、お客様の怒りを煽るような言葉をはさむなどの対応はNGです。
お客様の勘違いや間違いによるクレームについても、最後まで丁寧に説明を聞くようにしましょう。途中で間違いを指摘すれば相手が余計に感情的になってしまい、さらに事態が悪化する可能性もあります。
勘違いや間違いは誰にも起こることなので、そのことも考慮し、柔軟に低姿勢で対応してください。相手が落ち着いて自分の間違いに気づけば、お店の丁寧な対応に感謝されるかもしれません。
クレーム処理は時間との戦いです。待たされれば待たされるほど、お客様の怒りは増幅します。飲食店の場合は大きな企業と異なり幾つもの部署をたらい回しにされることはないでしょうが、苦情を聞き取る人がすぐに出てこなければ二次クレームにつながります。
クレームを受けた時にその従業員がその場で解決できるのが理想的ですが、アルバイトや新人など責任を負えない従業員が対応する場合は「すぐに責任者を呼んできます」と断って速やかに適切な担当者を呼ぶ体制を整えておきましょう。「私は担当じゃないので」という言い方は絶対にしないように気をつけてください。
「カスハラ」とは、カスタマーハラスメントの略です。昨今では理不尽なクレームや無理難題を要求してくる悪質なクレーマーが増加しています。
一般的なクレームは料理やサービスに対する正直な感情から沸き起こるものに対して、カスハラは顧客の立場を利用した嫌がらせとも取れるような行為や、不当な要求である場合が多いです。カスハラの具体例を挙げると、スタッフへの暴言や暴力、謝罪する際の土下座の強制、恐喝や不当な金銭要求などです。
カスハラに対しては、その対応を間違えるとさらに大きな問題に発生するため注意が必要です。
理不尽な苦情による要求と一般的なクレームにはそれぞれ適切な対応が必要です。とは言うものの、まずは謝罪をして苦情を訴えるお客様の言い分を聞くことは大切です。
しかし感情が高ぶって怒鳴る、スタッフに暴力を振るおうとするなどの行為に発展した場合は、「他のお客様に迷惑がかかるので止めてください」や「警察を呼びます」と相手に告げましょう。また無理難題を要求してきた場合も「これ以上の要求には対応できかねます」ときっぱりと断ることが大切です。
悪質なクレーマーは業務妨害や威嚇を初めから目的にしている可能性もあり、その場合は問題を解決して欲しいわけではありません。アルバイトや女性スタッフなど高圧的に出るターゲットを選んでいることも多いため、態度や要求に理不尽さを感じたら、早めに店長や責任者などを呼んで対応を代わってもらうようにしましょう。またそのクレーマーが再来店した際に対応できるよう、クレーム内容やクレーマー情報を共有するようにしましょう。
サービス業である飲食店でのクレーム・苦情発生は、どんなに気をつけていてもゼロにすることは難しいです。料理の提供や接客に細心の注意を払うことで、ある程度クレームを減らすことはできますが、クレームを受けた際のマニュアルを事前に作成して従業員に浸透させておくことも必要です。
また会計に関するクレームについては、自動精算機やレジスター導入などによってヒューマンエラーを減少させることもできます。ぜひ検討してください。
さまざまな自動精算機の販売会社の中から、店舗の「売上アップ」に寄与する機能に注目。
導入業種の豊富さと顧客満足度を高める機能に注目して導入業種が多く、連動機能が多い3社を紹介します。(2021年4月時点)
スターランド
連動機能 | 12種 |
カラオケ業界No1!POSシステムとの連動で施設を省力化
導入業種
キャッシュレス決済
アルメックス
連動機能 | 9種 |
クリニックの受付から精算、再来受付までトータルでサポート
導入業種
キャッシュレス決済
システムギア
連動機能 | 8種 |
スピードチェックインでホテルフロントの滞在時間を短縮
導入業種
キャッシュレス決済
※2021年4月時点 特化した機能と導入実績が多い順 各社公式サイトを参照 編集チーム調べ